2012年1月16日月曜日

評論家になるな。アイデアマンになるな。

30歳になりました。
たくさんの方におめでとうメッセージをいただき
うれしかったです。ありがとうございます。

まあ、30代になったからと言って何も変わりません。
それどころか、やっと背伸びをせず
自然体で生きていけると、
楽になった気持ちさえしています。

そんな晴れやかな心模様の自分から、
20歳の頃へメッセージを送るとしたら、
それは「評論家になるな。アイデアマンになるな」かな。

まず評論家。これは「なっちゃいけない」というのは
ガッテン承知の助なのですが、
気を抜くとすぐ顔を出す厄介なヤツです。

自分の得意な分野からそうでない分野まで、
せまい経験談や聞きかじった知識で、
良い・悪いとすぐに仕分けしたくなってしまう。

物事に自分なりの意見を持つのは悪いことではないけど、
自分で汗をかいたわけでもない出来事に、
口を挟みすぎるのは危険。
評論することで汗を流すこともできちゃうからね。
そこで満足感や達成感を得ても、
またすぐに乾いちゃって、次の評論の対象を探してしまう。
そんなことしてられるほど、人生は長くない…と思います。

続いてはアイデアマン。
これは逆に「なぜいけないの?」と思うでしょう。
理由は一緒で、やっぱり汗をかかなきゃ意味がないと思うから。

実のところ、アイデアを出すのは割とカンタンです。
それにアイデアの段階では、
それが良いのか悪いのかは判断しにくい。
もちろん、全然ダメなものはわかりますけどね。

そして何より、アイデアは実現することのほうが
何十倍も何百倍も難しい。
実現するのに必要なステップを一つひとつ重ねていくためにも、
また小さなアイデアが必要となってくるし、
それを全部揃えることのほうが、
最初の第一歩のアイデアを考えるよりも大変です。

実現できないアイデアは、
「なかった」と思われても文句言えないんですよね。
厳しいですが、それが20代の10年間で思い知った現実でした。
だけど、すぐには実現しなくても
時間がたってから実現するアイデアもある。
それを20代最後の一年で体験できたのもすごく良かった。

20歳の僕よ。もう一度、この言葉を贈ろう。

評論家になるな。アイデアマンになるな。

2012年1月10日火曜日

お客さんのプロになりたい。

あけましておめでとうございます。
本年もマイペースでいきますが、
よろしくお願いします。
(ご挨拶おそくなってすみません)

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友人が、落語の一門会に出かけたそうです。
ある駆け出し落語家の晴れ舞台を見るためでした。

高座には芸歴の浅い者から登場するため、
その若手落語家はトップバッターを務めます。
演目は古典の「千早振る」。

友人が見ていたところ、
その落語家さんは明らかに緊張した様子で、
以前に見た時よりも早口になっていました。
そういった緊張は聞いている側にも伝わるものなので、
友人は落語を聞いて笑うというより、
心で応援の言葉をささやくような、
そんな気持ちになって見ていたそうです。

友人が感心したのは、客席の反応でした。
お客さんの中には落語をよく知っている方も多く、
「千早振る」がどんな内容かは十二分にわかっています。
もちろん、どこが笑う箇所なのかということも。

そして、お客さんたちは笑う箇所が来たら、
揃って笑うんだそうです。
落語をあまり知らない友人からは
早口でよく聞き取れない箇所もあったりするのですが、
客席からはきちんと笑い声が起きます。

すると、笑い声を聞いた舞台上の落語家さんからは、
徐々に緊張の色が薄れていきます。
次第にいつもの調子を取り戻していったのだそうです。

舞台上の人間だけが演目を創り上げるのではなく、
客席も含めたその場にいる人達全員で、
空間を盛り上げていく。
いわゆるインタラクティブです。

「俺は客だから、さあ笑わせろ」
という人がいたら、成立しない空間です。
中にはいるのかもしれませんが、
そんな人をいないように思わせてくれるだけの
懐の深さにあふれているように思います。

これって、いくらでも応用できるんですよね。
僕は散髪に行ったら、
シャンプーしてくれる人に
かならず「気持ちいいですわ〜」と言います。
心の底からそう思っているのですが、
思っているだけでは伝わらないので、
かならず言葉に出して伝えます。

シャンプーを担当するのは
新人さんの場合が多いので、
あまり褒められ慣れていないのでしょう。
何気ない一言にもすごく喜んでくれます。
きっとその後のマッサージも
念入りにやってくれているはずです。

何というのでしょうか、
「サービスする側」と「サービスされる側」のステキな関係?
お互いを尊重し合うことが、
お互いの力を最大限に引き出すことにつながり、
結局それはお互いにとっての“得”になるはずなんですよね。

「お客様は神様」なんて、お店側が言うことであって、
お客さん側からは間違っても言ってはならない。
そんな人はお客さんのアマチュアだなあ、と思うわけです。

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