2012年1月10日火曜日

お客さんのプロになりたい。

あけましておめでとうございます。
本年もマイペースでいきますが、
よろしくお願いします。
(ご挨拶おそくなってすみません)

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友人が、落語の一門会に出かけたそうです。
ある駆け出し落語家の晴れ舞台を見るためでした。

高座には芸歴の浅い者から登場するため、
その若手落語家はトップバッターを務めます。
演目は古典の「千早振る」。

友人が見ていたところ、
その落語家さんは明らかに緊張した様子で、
以前に見た時よりも早口になっていました。
そういった緊張は聞いている側にも伝わるものなので、
友人は落語を聞いて笑うというより、
心で応援の言葉をささやくような、
そんな気持ちになって見ていたそうです。

友人が感心したのは、客席の反応でした。
お客さんの中には落語をよく知っている方も多く、
「千早振る」がどんな内容かは十二分にわかっています。
もちろん、どこが笑う箇所なのかということも。

そして、お客さんたちは笑う箇所が来たら、
揃って笑うんだそうです。
落語をあまり知らない友人からは
早口でよく聞き取れない箇所もあったりするのですが、
客席からはきちんと笑い声が起きます。

すると、笑い声を聞いた舞台上の落語家さんからは、
徐々に緊張の色が薄れていきます。
次第にいつもの調子を取り戻していったのだそうです。

舞台上の人間だけが演目を創り上げるのではなく、
客席も含めたその場にいる人達全員で、
空間を盛り上げていく。
いわゆるインタラクティブです。

「俺は客だから、さあ笑わせろ」
という人がいたら、成立しない空間です。
中にはいるのかもしれませんが、
そんな人をいないように思わせてくれるだけの
懐の深さにあふれているように思います。

これって、いくらでも応用できるんですよね。
僕は散髪に行ったら、
シャンプーしてくれる人に
かならず「気持ちいいですわ〜」と言います。
心の底からそう思っているのですが、
思っているだけでは伝わらないので、
かならず言葉に出して伝えます。

シャンプーを担当するのは
新人さんの場合が多いので、
あまり褒められ慣れていないのでしょう。
何気ない一言にもすごく喜んでくれます。
きっとその後のマッサージも
念入りにやってくれているはずです。

何というのでしょうか、
「サービスする側」と「サービスされる側」のステキな関係?
お互いを尊重し合うことが、
お互いの力を最大限に引き出すことにつながり、
結局それはお互いにとっての“得”になるはずなんですよね。

「お客様は神様」なんて、お店側が言うことであって、
お客さん側からは間違っても言ってはならない。
そんな人はお客さんのアマチュアだなあ、と思うわけです。

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