2011年10月22日土曜日

ナントカワライダケ

おじさんが若者を見て言う。

「自分が君くらいの歳の時は、
もっと馬鹿だった。
今の若者はよく物を知っているし、
立派な考えを持っている」

褒めているのかと思っていたら、
あっという間に憂いにすり替わる。

「だが、小さくまとまってるなあ。
無謀でも何かにチャレンジする気持ちとか、
ガムシャラに何かに熱中するとか、
そういう熱いものはないのかね?」

うーん、ちょっと違うのではないだろうか。

教育というのは、経験則の集大成だと思う。

たとえば、僕らは食べられるキノコを
いくつか知っているけど、
昔の人はそれを知らなかったわけだ。
シイタケは食べられるけど、
ナントカワライダケは食べちゃダメということがわかったのは、
かつてナントカワライダケを食べた人がいたから。
それを食べて当たってしまったり、
死んでしまった先人がいたからなのだ。

先人たちの失敗や尊き犠牲を積み重ねた先に、
僕らの知識は存在している。

だとすれば、昔の若者より今の若者の方が
賢いというのは当然なのではないだろうか。
昔の若者が失敗した、その同じ轍を踏まないように、
彼らはその経験則を次世代に受け継いできたのだろう。
そして、それは着実に根付いている。
教育は成功しているのだから、そのことに胸を張ればいいと思う。
すぐ憂いちゃうのは悪いクセだ。

だけど、教えられないこともきっとある。
つまづかないように気をつけることは教えられるけど、
転んだ時にどうやって起き上がるかは教えられない。

おじさんたちよ、心配しなくても若者は転びます。
そしていつか、自力で起き上がります。
大丈夫。

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