2011年10月26日水曜日

ワイナリー「カーブドッチ」社長の講演を聴いてきた。

新潟にはワイナリーがある。
その名も「カーブドッチ」。
12,000坪の敷地と、それを取り囲む21,000坪のヨーロッパ式ぶどう畑。
ワインの製造施設だけでなく、
レストランやパン工房にアイス工房、
おまけに温浴施設まであって、
年間31万人のお客さんを集めると言う。

そのカーブドッチのオーナーである
落希一郎さんの講演を聴いてきた。
ちなみに「カーブドッチ」とは
フランス語で“カーブ・ド・オチ=落のワイン蔵”という意味だ。

落さんはもともと新潟と縁もゆかりもない。
鹿児島の出身で、東京外国語大学を中退した後、
海を渡って西ドイツ国立ワイン学校を卒業。
北海道や長野でワイン事業にたずさわり、
理想の国産ワインをつくる環境を求めて
たどり着いたのが新潟だった。

ワインの製造に適したぶどうは、
食用のそれとは異なる。
国内に存在するいくつかの国産ワインのほとんどが、
輸入されたぶどう果汁やワインそのものを
材料につくられているのが現状らしい。

落さんは、本物のぶどうを使った本物のワインをつくるため、
少量生産・少量消費にこだわる。
また、あえて「客を差別化する」というのもこだわりだ。
カーブドッチのメインターゲットは大人の女性とし、
小学校入学前の子供、観光バスで来る団体客は
基本的に受け入れていない。

女性は「よその家の子供が嫌い」であり、
観光バスは「単価が低すぎる」というのがその理由。
うーん、辛辣ながらするどい分析です。

もちろんそれは闇雲なこだわりではない。
結果として多くの女性客の支持を集め、
リピーターは8割にのぼっているのだ。
何度でも訪れたい場所を
つくりあげることに成功している。

いたずらに事業を拡大せずに、
自信を持って提供できる商品と環境を
本当にその良さがわかるお客さんだけに届ける。
そんな姿勢が良質なファンを
着実に増やしているんですね。
示唆に富んでいるなあ。

そして、落さんが講演で終始主張していたのが
「緑化」の重要性だった。

ドイツでは広い土地を持つ企業や個人が緑化に積極的で、
そうやってできあがった自然あふれる環境が
人々の暮らしやすい町をつくっていくという。

日本においては、広大な土地を持っているのは「企業」だ。
だから、企業が積極的に緑化するべきだと落さんは言う。
「事業を成長させていくこと」と
「環境を美しくしていくこと」は同じことで、
特に経営者や政治家たちがこのことに前向きになれば
新潟はもっと美しい町になれる、と。

「自分が働く環境は、キレイなほうがいいでしょ」
という言葉に、自然とうなづいてしまっていた。

飾り気のない言葉に、するどい主張、
時々おちゃめな冗談を交える落さんからは、
還暦を過ぎたと思えないパワーがあふれていた。

えー、ところで、非常に言いにくいのですが、
わたくし、まだカーブドッチに行ったことがありません。
実にもったいないですね。あかんあかん。
近いうちに、かならず行きます!

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